極東黒社会

役所広司「極道もの」初期の作品。

ここでの役柄は「コカインの売人」である。元フランス傭兵部隊出身という異色の経歴をもつコカイン売人加納。彼は台湾マフィアをその主要な相手先としていた。しかしニューヨークでビジネスが困難になったイタリアマフィアと、返還を前に利権の確保を狙う香港マフィアの攻勢が始まり、果てしない抗争が繰り返される。その対応に苦慮した警察は、ニューヨークからアンダーコップ(ショー・コスギ)を招聘し、捜査に当たらせる。しかし結局台湾マフィアは壊滅状態となり、イタリアマフィアは裏コカイン精製工場を新宿のど真ん中に確保することを狙う。しかしそうなってしまうと加納の商売はあがったりである。相棒のノブ(近藤真彦)と組んでなんとか工場の破壊には成功するが、ノブを失ってしまう。

その直後いよいよイタリアマフィアの大物が来日。アンダーコップは政治的要素により解任、お尋ね者となってしまう。ここに加納とコップの利害が一致し、マフィアの巣窟となっているホテルに襲撃、大銃撃戦を繰り広げる・・・・

とストーリー上はかなり「キレ」ている役柄ではあるが、コカインの売人をしつつ自分は手を出していないという役柄であるので、キャラクターとしては結構マトモなところではある。
ラストの銃撃戦であるが、これでもかといわんばかりに銃を撃ちまくり火薬が爆発しまくる展開である。あまりの凄さに「どうしてしまったんだろう?」とまで思ってしまうくらいであるが、よく考えると時代劇の立ち回りもそんなようなものか。この銃撃戦のシーンで、ドアの後ろに隠れている敵をドア越しに撃つシーンがあるが、私はこれを見て「三匹が斬る!」の立ち回りを連想した。「障子越しにブッスリ」というやつに通ずるところである。

(初稿 1998.5.2)

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