日本の熱い日々 謀殺・下山事件

今現在「売れっ子」といわれている俳優であっても、デビューの時から大役を射止めることのできた一部をのぞくと、大半は「下積み時代」というものがある。そして、その時期の映画・ドラマ出演はまさに端役的扱いで、ファンであってもなかなか拾い出すことが難しいものだ。役所広司にしても、無名塾時代初期に出演されていた作品を20年近く経過した現在に観ることは、その作品がメジャーでもない限り(例えば「鬼龍院花子の生涯」のような)かなり難しいことである。

ここで紹介する「謀殺、下山事件」はまさにそんな1本。映画データベースからも拾い出すことのできないぐらいの端役であり、加えて非常にマイナーな作品(私の父親は知っていたが)で当然ビデオ化もされていない。上記にあげた「観ることがかなり難しい」例にまさに合致しているところだ。管理人もこの作品については半ばあきらめていたのだが、何と今年の8月にCSの「終戦特集」か何かで放送されたのである。なるほどCSであればマイナーな作品を扱うことも多いし、基本的にカットはない。問題は契約しないと駄目なことであるが、私の場合電器店勤務の友人がいてその点はクリアできた。その前の月に管理人は「絆」観たさにWOWOWを契約したばかりであるが、こういうことがあるからCSも検討しなければならないか・・・・

本題に入る。タイトルからも容易に理解できると思うが、内容は終戦直後の日本に衝撃を与えた「下山国鉄総裁轢断死体発見」事件の真相を追う、というものである。下山総裁の死体が発見され、その死因について「他殺説」「自殺説」がとなえられる。昭和日報社の記者(仲代達矢)は現場の状況から他殺を信じ、少ない情報を元に調査していくが、いつも怪しげな陰がつきまとう。そしてついに事件の核心にいた若者(隆大介)と接触を持つことに成功するが・・・

ということで主演が仲代達矢で準主演とも言える若者役が隆大介と来れば、当然無名塾関係者の出演があることは予想されるところだ。
とは言え「鬼龍院」の例もあり、役所広司も所詮名も無き端役で、映像的にも探すのが難しいであろうと予想していた。ところが実際に観てみると、確かに名も無き一新聞記者の役ではあるが、出演者のロールでは仲代達矢らとともに一番最初に名前が登場するし、新聞社のシーンではなかなかいいポジションでコマの中に入ってくる。そして何と下山総裁が死亡前日下山を見たと証言した旅館のおかみ(菅井きん)に主人公が話を聞く場面では、一緒に話を聞きに行きおかみの発言の矛盾を鋭く指摘する(役所広司のアップ)というオイシイところを演じている。ここでの仲代達矢とのワンシーンは「呪縛」との対比で年月の移りゆきを感じさせられるところだ。

また、ここで疑問なのはこの時のセリフがどことなく訛っていること。あれは長崎訛りなのか、それとも演出なのか・・・この後は新聞社のシーンでチラチラと映るだけなのだが、何と言ってもアップがあるというのはファンとしては嬉しいところだ。
今後も観ることはかなり困難と思われるが、実録映画としても面白い出来であるので機会があれば是非観ていただきたい1本だ。

(1999/9/30)


以上は今から6年前のコメントであるが、ご承知の通りDVDが発売され、比較的視聴が容易となった。ただしレンタル店狙いとなると難しい部類かもしれない。

(2005/11/2)

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