放送日 1993年10月23日「土曜ワイド劇場」(テレビ朝日系)
タイトル 私兵刑事 トリカブト殺人の謎 脅迫者の声は女?男?
今回(1999.3.9)の更新でテレビコーナーに「出演作品一覧」を載せてみたが、こうして作ってみるととにかく多い。そして意外にも2時間ドラマの数が多いことに気付くだろう。「2時間ドラマ」というものに対してみなさんはどういった印象を受けるだろうか。管理人はどうも「粗製濫造」というイメージが強く、これまであまり積極的に見ることは少なかった。しかしながらこのHPを運営していく中で「役所広司の2時間ドラマ」についてみなさんから色々な情報を下さり、色々と見る機会が増えるにつれ、管理人の考えが誤っていたことがわかってきたところである。
さて今回紹介する「私兵刑事」であるが、これも「グット・バイ」同様HP開設当初から傑作としてメールがよく来ていた作品である。ところでストーリー紹介に入る前にまず「タイトル」をご覧いただきたい。このいかにも「土曜ワイド」なタイトルが見る人によっては「引いてしまう」ところだと思われる。まぁそれはそれとして。
刑事である中島(役所広司)は、かつて愛人智子の借金を知人の野宮社長に肩代わりしてもらった過去があった。この時智子はその中島の行為に対して反発し、出ていってしまう。その一方、中島は野宮社長に頭が上がらなくなり、刑事の一方で野宮の「私兵」として働いていた。そんな野宮のもとに脅迫電話がかかり、経営する那須野の牧場で猫が殺されるという事件が起きた。更に牧場で働く娘を誕生日に殺害することをほのめかす電話が来る。心配になった野宮は、中島を那須野まで同行させ、ボディーガードとして一晩宿泊させた。翌朝、結局何事もなかったので安心して東京に戻る野宮と中島。その帰りに野宮は愛人宅に行ったが、何と愛人は殺されていた。そしてその愛人というのが他ならぬ智子だったことら、中島は野宮に対して疑念を持ち始め、調べる中から次々ととんでもない事実が明らかになって行く。その過程の中で中島は忘れかけていた刑事としての正義感にめざめてゆく。
というわけで、いかにも2時間サスペンスドラマ的なストーリーなのであるが、役所広司はこういうドラマでも見所が多い。ことに押し掛け女房的な行動をするデートクラブで知り合った睦子に対するあたり、どことなく「情けなさ」や「内向的なところ」が出ていて味があるところである。関係ないが管理人は中島が着ていたパジャマが気になったところだ。
その他では特にラスト、同じく野宮社長の私兵刑事となっていた藤崎(峰岸徹)に対し、自分は正義を貫くことを話すが、家庭のある藤崎はそれに対し返事をしないという部分などは、自分が同じような立場にあったらどちらを選択するだろうか、と考えさせられたところだ。
(初稿 1999.3.9)