初回放送 1983年12月1日
以前から管理人は知人の電器店にスカパーの導入を奨められていた。確かに多チャンネルであるし、面白そうな番組も多いので関心はあったものの、いざ導入となると資金面やら仕事の関係で転勤が多いことなどやらで二の足を踏んでいた。そういった状況であったところに、10月に時代劇チャンネルで「役所広司祭り」と題する集中放送があるという情報を入手、その次の日に早速取り付けてしまった。全く管理人宅のハード購入にはつくづく役所広司が絡んでくる・・・・DVD、WOWOW・・・今回はその第一段として「樅の木は残った」を紹介したい。
作品自体は山本周五郎原作の非常に有名な時代小説である。江戸時代前期の奥州伊達藩のお家騒動が題材。伊達家乗っ取りを謀る藩主綱宗の叔父である伊達兵部は、藩主綱宗の乱行を幕府に密告し、隠居させることに成功。その後継に自分の息子をつけることを画策する。一時は藩主の嫡子である亀千代に決定するが、それでも兵部は諦めず息子の舅である老中酒井雅楽頭と結託して謀略をめぐらす。酒井が実はこのお家騒動に乗じて伊達家を取りつぶそうとしていることを知らずに。いち早くそのことを察知した家老原田甲斐は、自らを捨てて兵部に取り入り、酒井の謀略に対抗し伊達家を守ろうと腐心する。
昭和45年に平幹二郎主演のNHK大河ドラマにもなっているから、中高年の時代劇ファンには定番の作品であろう。主演の原田甲斐は仲代達矢。役所広司は原田邸に居候する壮士伊東七十郎を演じている。本線の役というわけではないので途中でいなくなってしまう(伊達兵部暗殺未遂のかどで処刑される)が、時期的に「信長」直後の作品であり、キャストの二番目に登場する役だけあって登場シーンは少ないが印象に残るところである。原田甲斐が伊達兵部に迎合していると思いこみ、その態度に激怒して原田邸から出ていく場面や、処刑される場面「俺の首を斬ったら上を向いて倒れる」と言い放つ迫力はまさに鬼気迫るものがある。
その他では仲代達矢主演・隆巴脚本ということで、無名塾関連の出演が予想されるところ。役所広司無名塾時代の作品に必ず登場する益岡徹がここでも出演しているが、これまたほんのチョイ役(兵部の間者として原田甲斐を襲撃するが、撃退されて逃亡する)でいつのまにかいなくなってしまう。子役で仙道敦子が出ているあたりも十六年前の作品であることを感じさせられる。加藤武演ずる伊達兵部の知恵の無さも面白い(管理人は「よし、わかった!」を連想した)是非地上波でも放送して欲しいところだ。
(初稿1999.11.4)