パコと魔法の絵本

本日より公開。早起きして初日の初回に視聴。

例によって客の入りをウオッチ。同時公開に「大決戦!超ウルトラ8兄弟」があったためか、子供+親という組み合わせは少なく、客層はやや高い感じで30名弱といったところ。


「一代で財を成した反面、常に自分という存在を強い者として意識し続ける人生を歩んだ故に、他人を思いやることのない偏屈な人間になっていた大貫が、事故により記憶を一日しか維持できない少女パコと出会ったことで、他人を思いやる心を取り戻していく」という話。

大貫は心臓病で入院しているが、患者仲間ともうち解けるつもりは全くなく、何かといえば怒鳴り散らす始末。
ある日母親から誕生日プレゼントとしてもらった絵本を読んでいるパコと出会うが、少女相手でも意地の悪さに容赦ない大貫。
パコは大貫が立ち去ったあとのベンチに残されていた純金製のライターを拾う。
次の日。ライターが無いことに腹を立てた大貫は、大事な花壇をめちゃくちゃに。
再びパコに逢うと、昨日のことは全く覚えていない様子。だがライターを持っていたことから、大貫はパコをグー(!)で殴る。
しかし院長からパコの病状のことを聞き、反省する大貫。
翌日、殴ったパコの頬にふれると、記憶が一日しかもたないはずにもかかわらず「昨日も触ったよね」という驚くべき反応。
「殴った」にもかかわらず「触った」という記憶をもったパコに対し、何かできることはないかと模索する大貫は、病院の「サマークリスマス」イベントでパコが持つ絵本のストーリーを劇にすることを医師・看護婦・患者たちに立案する・・


私個人的な意見ではあるが、役所広司の演技の神髄は「吠え」にあると思っている。
当然にそこに至るまでの演技の繊細さがあってのことで、ただ闇雲に大声を出しているわけではない。
本作も随所にその姿が見られ、特に前半の山場である「パコに何もしてやれない自分」を嘆く場面では、まさに「吠え」の真骨頂。
TVCMの予告編だけを見ても「やられて」いたのだから、スクリーンを前にすると危ない、声が出そうになった。

大貫の「嫌なオヤジ」ぶりがまた佳い。顔メイクは「乱」の仲代達矢のそれ(ほぼ同年代である)を思わせる。
周囲の面々も、それぞれに一癖もふた癖もある面々がそろっている。

CG・特殊効果が先行している感もあるが、CGと実写の入れ替わりの妙・迫力を感じる上でも、映画館で観ておくべきだろう。

(初稿2008/09/13)

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