先日、ついにレンタルビデオ屋で、いわゆる「役所広司メジャー化3部作」(Shall we ダンス?・失楽園・うなぎ)を一気に借りてきた。とりあえずうちの奥さんに聞いたら「失楽園が見たい」と言うので最初に見たわけである。
この映画自体についてはもう語り尽くされている感があるし、一寸した映画マニアのHPを見ると必ずストーリーや感想が載っているので私がとやかく言わなくても良いだろう。というわけで役所広司を主体とした「オールドファン的な」感想を若干述べようと思うが、一つだけ記しておく。
この映画は原作をある程度踏まえていないとほとんど理解不能であろう。現に原作を知らないうちの奥さんは全くちんぷんかんぷんのようである。恐らく2,3回は見ないと駄目だろう。(その点テレビ版は連続ドラマということもあり、原作を知らなくても理解できたのではなかろうか。内容はともかく)
私は「日本経済新聞」連載当時によく読んでいたのである程度の理解は出来た。これから見ようと思われている方は注意していただきたい。
さて本題に入ろう。私の感想は何と言っても「くたびれてるナァ」に尽きる。確かに久木は激務から閑職に左遷された立場であるし、年代も50才なのであるからくたびれていることは事実であるが、それにしても役所広司演ずる久木はくたびれている。
あまりテレビ版と比較すると問題であるが、古谷一行演ずる久木はあそこまでくたびれていなかったように思う。激情おもむくままの「こと」が終わった後、ベッドの中で煙草をくゆらすようなシーンが何度かあったが、どのシーンを見ても「いかにもくたびれている」表情・演技であった。役所広司の演技の凄さに感心し、役所広司もこういう演技の似合う年齢になられたのだなぁ、と感慨に耽りつつも、オールドファンとしてはやはり若干の違和感があった。これだけを見て役所広司の評価をされると困るな、と思ったわけである。ただ「失楽園」の演技を見て役所広司のファンになった、という方もかなりいらっしゃることは事実であるし、上記3部作の影響は計り知れない。まあそのあたりに私がこのHPを制作しようとしたきっかけがあるのだが。
(初稿1998/7/24)