私が初めて購入したDVDソフトであり、おそらく役所広司出演映画作品で最初にDVD化された作品。
映画の内容はタイトルからもおわかりのように「渋谷のコギャル」の生態の映画である・・・・・と私も思っていたのだがそう片づけてしまうと間違いの元である。確かに「コギャルの生態」の部分、援助交際・ブルセラ・売春といったところがかなりリアルに描かれている(これ故に当初はR指定となったらしい)が、単にそれだけではない。私はこの映画を「努力と根性」の映画のように感じた。何故そう感じたかはここでは触れないが、レンタル店にも出てきているようなので、偏見無く是非観ていただきたい1本である。
役所広司は渋谷で風俗産業を一手に扱うヤクザ大島として登場する。しかし他のヤクザ映画と違い、外見や語り口は一見至って物静かである。だから却って凄みがあるところだ。大島は自分の商売敵としてのコギャルに反感を持っている。コギャルを騙して説教し金を巻き上げたりもする。この行動は親心のようなものではなく、自分のビジネスを破壊する者を排除する行動にすぎない。そんな彼がひょんなことからコギャルのリーダー格と知り合い、「常識のある大人が少なくなったから子供の非常識が通用する」と主張する彼女たちの行動・論理に自分とのギャップを感じながらも理解を示すようになる。何と一緒にカラオケまで歌うのだが、その曲が革命歌「インターナショナル」であることに着目しなければなるまい。コギャルたちの持つ大人への不信感・反感はかつて自分が若い頃熱く燃えた学生運動と重なったのだろう。学生運動も本人たちの純粋な行動理念が社会から認められなかった点ではコギャルの行動と同じなのだ。大島が経営するバーに「焼けこげのある赤い旗」が飾られているあたりがニクイ。小堺一機演ずる「典型的な・・・おそらくノンポリ学生だった・・・オヤジ」と大島とは全く異なるのである・・・
(初稿1999/2/7)